仕事が進まない原因は、要領の悪さより、数えていない「教える時間」

新人に仕事を教えただけなのに、気づけば午前中がまるごと消えていた。そんな日の夕方は、肩と背中だけが重く、自分の仕事は少しも進んでいません。
朝に組んだ段取りが、夕方にはバラバラです。そのむなしさが、重たい背中にもう一枚のしかかってきます。
その日の朝、私の段取りははっきりしていました。取引先が回答を欲しがっているメールを、今日中に検討して送ること。待たせている相手がいるのです。
ところが、新人に受注システムを教えることになりました。
部署によって手順が違い、参照するサーバーもデータの保存先も違います。ファイル名にもルールがあります。ひとつずつ説明しているうちに、時計は昼を過ぎていました。
時間はお金と同じで、使えば確実に減っていきます。それなのに、新人に仕事を教えた時間だけは、どこの工数にも計上されない職場が多いです。誰も数えていないことが、しんどさの正体なのだと思います。
そして、数えていないのは、私自身でもありました。黙って仕事を巻き取る私の手は、口よりも先に「任せていいよ」と相手に伝えています。
「言わなくても分かってよ」は、どんなに心が通じ合う近い相手にも通じません。
仕事の「ついで」ではありません。
作業時間そのものです。思えば私は、教える時間というピースを数えないまま、パズルを組んでいたのでした。
そこで、教えた時間を書き出してみました。何を教えて、何分かかったか。付箋でも十分です。頼まれていない業務が一日にどれだけ入り込んでいたかが、数字で見えてきます。私の場合は、午前中いっぱい。
上司には「半日かかります」と伝えました。数字があると、相手も判断しやすい。上司は、新人へのレクチャーは他の人にやらせる、と言いました。数えて、口に出した時間は、ようやく誰かに見えるものになったのです。
これを読んでいるあなたも、明日、誰かに教える時間が生まれたら、始めと終わりをメモしてみてください。
そして「教えるのに半日かかります。取引先へのメールは午後になりますが、よろしいですか」と、数字と影響まで添えて伝えてみる。
抱えすぎる仕事が楽になる、絶対身につけておきたい力です。
伝えられたあなたへ。次は、そもそもなぜ私は、見かねて引き取ってしまうのかを見てみませんか。