「我慢しなさい」では子どもは止まらない。ねだる子に効く、別の言葉

いつも行く業務スーパーで、今日は良いサイズの鯛が買えました。土鍋の鯛めしを取り合う子どもたちの顔が浮かんで、レジに向かう足どりが少し弾みます。
袋に魚や果物を詰めていると、風船を持ったひらひらのスカートの小学生の女の子2人が、母親に「ダメ!」「なんで我慢できないの!」と、すごい剣幕で叱られていました。
自動ドアの手前にあるガチャガチャを、やりたいとせがんだようです。
「なんでだめなの。理由を教えて」と娘たちは何度も返し、母親は「あなた達にはちゃんとお金をかけている!」と応戦します。
何年か前の子育てで苦労していた頃の自分を見ているようで、胸の奥がきゅっと縮みました。
その言い方では、子どもは納得しません。「理由を教えて」は止まらず、言い返すたびにお母さんのほうがすり減っていく。
声をかけたい気持ちを飲み込んで、私は自転車にまたがりました。
道すがら、コンビニの駐車場で「まだ分からないの! 我慢して」と、聞き覚えのある声がしました。さっきの親子が、今度はコンビニで何かをせがまれたようです。
子どもがいる人なら、誰でも覚えのある場面だと思います。私にもあります。
買い物の途中で「欲しい」が始まると、それだけで残りの体力がごっそり削られていく。
言い合いは、時間と気力の利子がどんどん膨らむ借金のようなものです。
あのお母さんも家族も、いがみ合わずに過ごせたらいいのにな。そう思いながら、重たいペダルを漕ぎました。
子どもとの買い物には、バスと同じで「行き先表示」がいります。
ねだれば手に入ると思っている子を納得させる方法は、ここへ何をしに来たのか、目的を言葉にすることです。
私も100円ショップで同じピストルを3回買わされてから、「毛糸を買う」とモノの名前で行き先を伝えています。
スーパーの出口で「ガチャガチャやりたい、お金ちょうだい」とせがまれたら、私ならこう言います。
そう言って袋を渡し、一緒に仕事をします。
「理由を教えて」と繰り返す子は、ダメの奥にあるお母さんの気持ちを知りたかったのだと思います。
今日の行き先。
それだけで、子どもの手はガチャガチャのハンドルではなく、魚のパックをつかみます。
別の日、イオンで「ガチャガチャをしたい」と言われたら。「今日はガチャガチャをしに来たんだよね」と、1回だけやります。
うちの子は何周も棚を回って機械を選び、出てきたのは黒ではなく茶色の柴犬。それでも「これもかわいい」と、今も家の鍵に付けています。
どこへ、何をしに来たのか。行き先を言葉にしてあげると、子どもの「欲しい」はずいぶん落ち着きます。
声を張り上げなくていいぶん、帰り道のペダルも軽くなるはずです。ぜひ試してみて、どうなったか教えてください。
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